ぼくたちのためのレシピノート【書評】



人付き合いの苦手な大学生の前に現れた、明るく無邪気な隣人とその恋人。彼らの "秘密" に、ぼくは気づけないでいた ーー。(本書の帯より)



今回は、

第8回アルファポリスドリーム小説大賞

大賞」受賞作品である、こちらの作品の感想を書いていきたい。



作品紹介

周囲の人間と上手く接することのできない大学生、今川広夢。彼はある時、バイト先の同僚・星野響が、アパートの隣の部屋に住んでいることを知る。明るく無邪気な響、その恋人の新木ゆりと三人で過ごすうち、広夢は彼らに惹かれていき、日常が鮮やかに色付いていく。しかしある日を境に、広夢は響とゆりになかなか会えなくなり……。内気な青年の変わりゆく日常を描いた、友情と、恋と、喪失と、再生の物語。

(引用元:コミックシーモア より)





ー 感想 ー


主人公は、大きな中央図書館でアルバイトをしている20歳の青年である。
まず素朴な疑問として、図書館司書のアルバイトと言うものがあるのだということをわたしは初めて知った。
非常勤のパート採用は知っていたが、学生アルバイトの募集というものがあるらしい。学生だった当時にあったなら、知っていたなら、ぜひともやってみたかった。


図書館司書の話となれば、本好きの方からしたら少し興味を引く話だと思う。
冒頭部では、司書の業務について説明されており「現場はこんな感じなんだな」ということを窺い知ることが出来た。
ただ、序盤にその説明があるくらいで、あとは同僚の星野響たちと会話をする舞台のひとつとしてアルバイト先である図書館が出てくるくらいなので、悪しからず。


端的に言うと、序~中盤は、陽キャと陰キャという、性質の違う者達が食事をしたり遊んだりなど、一緒に時間を過ごしていく話である。


主人公の同僚であり隣人でもある星野響は、なんでもそつなくこなし、明るくて人当たりもいいため周りからの評判もよい。主人公とは正反対といってもよいだろう。その響の彼女である新木ゆりも、やはり明るくてやさしい女性だ。


響も、その彼女であるゆり も、主人公のことをなぜか気にかけ、積極的に誘ってくれる。ふたりきりでデートを楽しめばいいのに。と今川広夢も言っていたが、わたしもそう思うだろう。おじゃま虫になってしまうであろうことから、落ち着かない気もする。


ただ、このふたりは有難いことに、いち友人として今川を誘ってくれている。内気な人からしたら、声をかけてもらうことで、いろんな出会いや発見に繋がるため、ふたりの存在は今川広夢にとっては大きなものだっただろう。

そんな友情味あふれるようなストーリーも、後半から少しずつ変化し、シリアスな流れになる。


今川広夢自身は、響とゆりのおかげで、ずいぶんと変わった。本だけあればいいと言わんばかりの本の虫から、他者と関わりを深めるようになり、人にどう見られるのかを気にして身綺麗にしてみたりと、今川広夢という陰キャ青年が少しずつ変われたのだ。



この作品は、ただ単に友達とほんわかとした時を過ごすインドア青年の日常を書いたものではない。インドア青年である主人公が、温かな人との触れ合いにより、すべてを拒むような枷を解いて心を開き、人間として成長していく様子を書いた作品である。


スタート時点での主人公には、友達と呼べる人はいなかった。そこから、響やゆり、同じ学校だった同級生たちとの再開から、徐々に友達が増えていく。
人との出会い。それによる主人公の成長が、この本の見どころだ。



この本のタイトルになっている「ぼくたちのためのレシピノート」。


レシピノートとは、その名の通りレシピをまとめたノートだが、筆者は、レシピノートは自分のためだけにあるのではないという所にフォーカスしている。物語を読み進めることで、このタイトルの意味がちゃんとわかる。心温まり、それでいて何処か胸に詰まる切なさもある。思いの詰まったこの作品にふさわしいタイトルだと、読み終えて感じた。




主な登場人物 

●今川広夢
図書館で働く、人付き合いが苦手な大学二年生。
●星野響
明るく無邪気な広夢の同僚で、アパートの隣人。  
●新木ゆり
響の年上の恋人。響に負けず劣らず明るい。  
●伊賀むつみ
内向的な、広夢の中学時代の同級生。  
●佐々木清香
広夢の中学時代の同級生。むつみと仲が良い。 
●須崎隆
広夢が図書館で出会った役者の男性。 

(引用元:アルファポリス 新刊・近刊情報 より)   



書店員さん、絶賛!

「初めての友達の秘密がとても悲しくて泣けました。」――丸善 岐阜店 大野久美子さん  
「ただ普通に生きていくことが難しい、そう感じるあなたに読んでほしい一冊。」――喜久屋書店 北神戸店 松本光平さん
「出会いが多い春の今、読んでほしい一冊です。」――ブックセンターほんだ 原田みわさん

(引用元:アルファポリス 新刊・近刊情報 より)   




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アルファポリス

260ページ

2018年4月30日初版発行



著者 森園ことり プロフィール

東京都出身。2017年、「おとなりさん」で「第8回アルファポリスドリーム小説大賞」大賞を受賞。2018年、同作を「ぼくたちのためのレシピノート」に改題し書籍化、出版デビューに至る。 




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ぼくのとしょかん

自分で読んでみて「おもしろい!」「勉強になった!」と感じた本を紹介しています。 それが積み重なって「図書館」となります。 知っているようで知らなかった本。そんな本との出会いの場所を目指します( ´,,•ω•,,`)♡

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