わたしが本を読み始めるまで



これまで、マンガ以外の本を全く読んでこなかったわたしだが、20代半ばくらいから、マンガではなく新書を購入するようになっていた。


20歳のころ、日本が誇るゲームメーカー「コーエーテクモゲームス」から発売されていた『信長の野望』や『太閤立志伝』といったゲームに夢中になっていた。そのとき私は「太閤記」などの歴史小説を買って読んでみたことがある。半分くらいは頑張って読んでいた。しかし、途中で読むのをやめてしまい、読み切ることができなかった。


そんなわたしが、ある日突然、新書を購読するようになっていたのだ。その理由を書いていきたい。




なぜ新書なのか。まず、値段が安いからだ。


小説にしろビジネス書にしろ、1400+税、1500+税 などの値段で売られている場合がほとんどである。
本の虫ではない当時の私からしたら、「読んでみて、もしイマイチだったらイヤだな」という気持ちが先行し、財布の紐が固くなる値段だ。


わたしのように、本の値段が気になってしまう読書ビギナーにとって、新書はかなりありがたいものだった。
200ページに満たないページ数で、サイズも小さいからなのか、読み始めるまでの気持ちのハードルが低く感じるのである。


また、買いやすく、チャレンジしやすいからこそ、複数冊買って読み比べることもしやすい。たとえば、ひとつのテーマに対して書かれた本でも、作者が異なれば異なる視点で書かれるものである。あわせて読むことで、より理解を深めることができる。新書は、値段からも厚さからも、それがしやすいのだ。



私の読書は、マンガを除けば、新書にチャレンジするところから始まっている。そこから徐々に、同じく200ページくらいのエッセイ本にも手を伸ばしていったのである。




そんななか、ふと気づいた。

まわりの読書好きの人(主にTwitterのフォロワーさん)は、新書やエッセイ、ビジネス書ではなく、ほとんどが小説なのだ。


わたしはこれまで、書店に行った際も、とりわけ小説には関心をよせることはなかった。

なぜだろうか。新書が安いとはいえ、同じくらいの値段で文庫本だってある。ライトノベルだってある。それにもかかわらず、わたしは新書ばかりに手を伸ばしていた。


小説に対して忌避感があるわけではない。なのになぜ手に取らないのか。


答えはシンプルだった。ひとえにわたしは、読書をすることによって知識を得たかったのだ。当時はただ「知識を得るため」に、新書やビジネス書を読んでいた。「作品の世界観を楽しむため」ではなかったのだ。

知識欲を満たすために、少しずつ本を読み続けた。それにより、わたしは自然と読書に慣れていくことができた。


つまり、本を読む目的が違ったのだ。「読書が楽しい」と感じてはいたが、「楽しい」の種類が違った。それだけのことだったのだ。
だから、これまで書店で新書やビジネス書のコーナーには向かっても、小説のコーナーは自然と素通りしてきた。いま考えると、すこしもったいない気持ちになるのだが、その気持ちの隙間を "ある場所" が埋めてくれた。




読書を始めてから1年ほど経った頃、わたしは約10年ぶりに地元の図書館を利用した。


地元の図書館には自習室があり、受験生が受験勉強をするための部屋がある。かつて、その自習室を利用するためだけに足を運んだ図書館に、いまは本を借りるために通っている。


地元の図書館は、お手製の読書手帳を無料配布している
借りた本が記録シールに印刷され、それを100冊分貼って残すことができるのだ。
それを知った私は、書店での購入ペースを落とし、図書館で本を借りてみることにした。

図書館でも、やはり新書やビジネス書は借りた。タダなので、(自分の中での)ハズレ本に臆することなく試してみることができる。普段は買わないような本も、タダだから気兼ねなくチャレンジできる



普段は買わない本にもチャレンジできるのだ。
ならいっそ、ということで、ついに私は小説を借りてみることにした


小説は、自分の感覚のみで選んだのだが、1点だけ注意した。
それは、「はじめ(序章)は読んでも、おわり(終章)は読まない」ことである。

ネタバレになっては面白くないはずなので、作品の雰囲気を味わえるように、オチは確認しないようにした。
小説については、あくまで、どんな感じなのかを確認するだけにした。帯があれば帯、あとは序盤から中盤にかけて流し読みしてみて、面白そうと思ったものを借りていった


そうして、自分の興味のある本に関して、地元の図書館にある本を、新書・小説を問わずどんどん借りていった。いまでは普通に、小説の棚に立ち寄っている。


はじめて図書館で小説を借りたとき、「うわー、オレ、小説借りちゃったよ。珍しいことしちゃったよ」という、なんだか不思議な気分だったのが今では嘘のようだ。




私は、すっかり図書館の常連となっていった。


地元の図書館の場合は、「読書記録をシールで残す」というのがまた良い。
読書記録を自分で書くのは面倒で、私のような面倒臭がりは、いつか飽きてしまうだろう。
貼ってからも、それよりもさらに良い本が見つかったなら、その上からさらに貼って上書きもできる。こうして、自分だけの「(〇〇図書館での)お気に入り100冊」が出来上がるというわけだ。消しゴムや修正液が要らないし、簡単だから続けやすいのだ。

読書も図書館もビギナーだった私だが、おかげさまで先月晴れて「年間100冊」を達成した。(読書記録をはじめた日からの計算)

地元の図書館は、借りるだけでなく寄贈も出来ることを思い出し、いまでは家にある何冊かの本を、数ヶ月ごとに寄贈することにしている。これは「図書館に貢献したい」という綺麗な理由ばかりではない。「ご寄贈ありがとうございました」という紙1枚の掲示物に名前が書いてもらえるからだ。これにより、わたしは ささやかな承認欲求を満たして、しあわせなきもちになっている。

こうして、充実した図書館ライフ、読書ライフを日々送ることができるようになった。

「読書を始めたいけれど、どんな本がいいのかわからない」というみなさん。まずは、自らの目的に沿った本選びから、スタートしてみてはどうだろうか。


また、みなさんの最寄りの図書館でも、きっと素敵な出会いがあると思う。
図書館ごとに特色が違うため、覗いてみることをおすすめしたい。




あとがきにかえて -


ここまで、本と親しむことが少なかった私が、「本の虫」となっていく話を書いてきた。

「新書って良いよ。図書館も素敵だよ!」ということを書いただけではあるけれど。


次回は何について話そうか。こういう自分語りみたいなのもなんかいいなあと感じたので、要約やレビューだけでなく、気が向いたときにまたやっていこうと思った。


気づけば日が暮れている。

そろそろ夕餉の時間なので、今回はこの辺で、筆ならぬ、ディスプレイの画面を閉じることにする。


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ぼくのとしょかん

自分で読んでみて「おもしろい!」「勉強になった!」と感じた本を紹介しています。 それが積み重なって「図書館」となります。 知っているようで知らなかった本。そんな本との出会いの場所を目指します( ´,,•ω•,,`)♡

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