「さみしさ」の研究【書評】



「さみしさ」を感じるのは、どんなときだろうか。


友達を作らずに過ごす学校生活?
楽しかったお祭りの後?
恋人と別れたとき?
慣れない1人暮らし?
夫婦のすれ違い生活?

すべて「さみしさ」なのだろう。だが、払拭する術が思いつくのなら、ぜひ試してもらいたい。上にある一例であれば、とりあえず友達や恋人を作れば何とかなりそうだ。気にならないくらい趣味や仕事に打ち込むのもよいだろう。


そのため、本書の内容は若い方にはピンとこないかもしれない。
なにしろこの本は、「昔はよかった」というように、御年72歳の筆者が、かつてを懐かしみながら書いた本なのだ。

そのため、特に昭和の時代を生きた方に、この本は手に取ってみてもらいたい。
西城秀樹や松方弘樹の活躍を知っている若い方であれば、平成世代でも楽しめるかもしれない。



( 'ω'o[  本書の内容をご紹介 ]o


未練たらしいのはやめにしようぜ。要するに、自分の年齢にウソをついちゃいけないってことなんだ。アンチエイジングなんて言葉が流行ってるけど、そんなの自分の歳が恥ずかしいといっているようなもんでさ。
(p.7より引用)


女が若さにしがみつくのはまだわかるけど、男が若さを振り返るのはとにかくカッコ悪いぜ。
よく言うんだけど、男はアンチエイジングより「エイジング」じゃないか。ウイスキーだって、エイジングを重ねて上物になるんでね。そう考えりゃ、何も怖いことはない。歳を取ったのを上手く利用して、世間の目なんて気にせず、自分がいいと思ったことをドンドンやれるようになるし、言えるようになるんじゃないか。
(p.8より引用)





【 本書のポイント 】


「死」 について、また、「死後の世界」について
子供に対する親の責任について
宗教



若者にはピンと来ないかもしれないと述べたが、それは、「(寿命でみた場合に)死とは縁遠い年齢だから」という理由からである。

本書では、迫りくる「孤独」や「死」について、様々な観点から、たけし節全開で語られているのだ。



第2章では、さみしい別れについて書かれている。


大杉漣、星野仙一、さくらももこ、樹木希林、西城秀樹など。彼らとの出会いと別れについて、当時を懐かしみながら綴られている。

話の中で、出会いの場でもあるテレビ業界についても触れている。テレビの世界にも、筆者には思うところがあるのだと言う。


かつてはみんなで同じ番組をみたり、家族で一緒に過ごしたりしていた。しかしいまは、テレビはネット番組に押されて、家族の繋がりは薄れてみんなスマホの画面と向き合っていると筆者は述べている。

また、最近の数少ない高視聴率番組が「笑点」である点から、陰鬱な気持ちにもなるのだという。

人口の中で、団塊の世代の占める割合が多く、地上波テレビを見る割合もその年代が多くなっている。 
そのため、変わったことをするより、中高年ウケするようなマンネリ番組、焼き直し番組ばかりになっている。テレビ番組も、縛りがある中で頑張って作られている。だが、テレビ作りが「定型フォーマット」に落とし込まれているという、業界そのものの「老い」を、筆者は感じるのだと述べている。

これもまた、筆者の感じる「さみしさ」なのだろう。長らく業界を牽引してきた方の言葉に、思わず「なるほど」と思わされる。



テレビへのさみしさを語っていたと思いきや、その矛先は政治にも飛ぶ。


それが第3章からの話。

「あれ、さみしさの研究はどこに行った?」と思う節もあったが、この脱線していそうな感じもまた、たけしっぽさを感じられて良い。


実は脱線ではなく、「おいらはさみしいんだ!だから不良老人たるおいらが、社会に対して物申す!」といった感じなのだろうとわたしは思う。
そして、その「さみしさ」の原因はなんだろう、ということで、政治の話にも及んでいるわけであり、実はずっと「研究」をしている。堅苦しくせず、飽きさせないこの書き方に「さすが」という思いであった。


昭和世代の方であれば、おもわず「そうだそうだ!」と思ってしまう内容になっている。


今の人生が窮屈に感じている方には、ぜひ読んで頂きたい。




【目次】

はじめに

第1章 老い、孤独、そして独立について。

第2章 友の死、さみしいね。

第3章 ニッポン社会も老いている。

< おまけ > 2018最旬人物「ヒンシュク大賞」

おわりに


小学館新書

189ページ

2018年12月5日初版第1刷発行


著者 ビートたけし

1947年東京都足立区生まれ。漫才コンビ「ツービート」で一世を風靡。その後、テレビ、ラジオのほか映画やアートでも才能を発揮し、世界的な名声を得る。97年『HANA-BI』でベネチア国際映画祭金獅子賞、『座頭市』で同映画祭監督賞を受賞、著書に『ヒンシュクの達人』『テレビじゃ言えない』(小学館新書)など。



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