焼肉屋は 食べ放題なのに なぜ 儲かるのか?【書評】



食べ放題コースのある飲食店は、ファミリーレストランなどにみられるように、数多くある。

同様に、ポイントサービスを導入しているお店もまた、あらゆる業態で増えている。


しかし、これらの「仕組み」について、きちんと理解している人はどれほどいるだろうか。

かく言う私も、何気なく使っているだけで、ちゃんと調べたことは無かった。


何気ない興味関心から、今回はこの本を読んでみた。



本書は、公認会計士である筆者によって、会計の基礎をわかりやすく説明した本である。


「会計」と聞いて、自分には無縁だと感じる方も多いだろう。

しかし、あながち無縁でもないのだ。スーパーでの買い物、飲食店での食事の際など、我々は知らず知らずに、会計の仕組みに触れているのである。


たとえば、お店の無料サービス、割引やクーポン券など、それらをオトクと思って喜んで利用する方も多いのではないだろうか。
実のところこれは、会計学によって生み出された「結果的に利益を産むための仕組み」なのである。


本書は、知っているようで実は知らなかった会計の話を、噛み砕いて説明してくれている。「定価」「原価」「売上」「売上原価」「粗利益」など、専門用語とも言えないくらいに聞き馴染みのある言葉が並ぶくらいで、基本的な仕組みを知るうえでは充分な本に仕上がっている。


本書はいまから10年前の本なのだが、小倉優子さんが当時イメージキャラクターを務めていた『焼肉 小倉優子』の話も少し出てくる。
『焼肉 小倉優子』はほどなくしてすべて閉店したわけだが、芸能人がイメージキャラクターを務める店はほかにも、藤本美貴さんが名義貸しした『焼肉美貴亭 』や、清原和博さんが名義貸しをしていた『番長!清原和博の焼肉男道 本格焼肉食べ放題』などがある。(現在は、いづれもすべて閉店)



本に書かれている内容としては、第1章についてはそこまで食い入る部分は少ないと思う。わたしとしては、第2章からは徐々に「なるほど」と思える気づきが得られた。


たとえば


第2章:「割引」と「ポイント還元」はどちらが得か?
割引もポイント還元も、既に馴染み深い仕組みだが、客側と店側、誰にとってどちらが得かまでは、考えたことがないという人が多いだろう。かくいうわたしも、なんとなくオトクそうな方を選んできたのだが、この章ではその仕組みが噛み砕いて説明されている。

第3章:セットメニューのトリックの謎を解け
セットメニューというのも飲食店の定番である。この章では、セットメニューの仕組みについて、マクドナルドを例に挙げて説明されている。
ハンバーガーの原価はいくらか、フライドポテトの原価はいくらか、という「ちょっと興味を引く話」を交えながら、「なぜセットメニューとして販売しているのか」、「セットメニューはお店にとってどう得なのか」が、わかりやすく説明されている。

そして、この本のタイトルにもなっている、
第6章:焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか
第7章:飲み放題ができるわけ


など、後半につれて段々と難しくなってくるのだが、それもじっくりと読んでいけば頷くことができるほど、優しく書かれている。

さらには、
第9章:新規出店、どう決める?
第10章:多店舗展開する?しない?
お店でのサービスの話だけにとどまらず、ラスト2章分で店舗展開の話まで触れられている。



店側はさまざまな各種サービス、コースを設けている。
これらは当然、メリットの方がデメリットを上回るからこそ実施されているのである。
買い物に出かけた際、「え、安過ぎない?これで利益出るの?」など、一見するとデメリットに見えるようなサービスを見かけることもあるだろう。しかしこれは、会計によってメリットに変えられるからこそ実現できているのである。



会計を知ることが、お店の経営にかかせないのだということを、本書を通して感じた。
売上をあげればいいというわけではない。原価はどうなのか、人件費は?店舗を持つなら家賃もかかる…など、かかる費用というものについて、改めて考えてみるよいきっかけにもなった。


テレビやネットのニュースでも、「消費税増税」「固定費削減」や「コストカット」など、お金に関する言葉を耳にするようになった昨今。これを機会に、お金について学んでみるのはいかがだろうか。

まずは身近な「会計学」に触れてみることをおすすめしたいと思い、今回、会計の本をレビューしてみた。
会計の基礎をわかりやすく説明している本書は、お店のサービスの仕組みに興味ある方におすすめしたい。

加えて、これまで会計の本に何度もチャレンジしたけれど、頭に何も残っていないという方にも、ぜひ手に取ってもらいたい一冊である。




【目次】

はじめに

第1章 「割引」と「無料」はどちらが得か?

第2章 「割引」と「ポイント還元」はどちらが得か?

第3章 セットメニューのトリックの謎を解け

第4章 カード払いでクーポン券が使えないわけ

第5章 なぜ居酒屋はランチをやるのか?

第6章 焼肉屋は食べ放題なのになぜ儲かるのか

第7章 飲み放題ができるわけ

第8章 そば屋がビルを建てられる理由

第9章 新規出店、そう決める?

第10章 多店舗展開 する?しない?

おわりに


インデックス・コミュニケーションズ

191ページ

2009年3月31日初版第1刷発行


著者 五十嵐明彦

1975年東京都生まれ。1996年、明治大学商学部3年在学中に公認会計士に合格。大学在学中から監査法人トーマツに勤務し、国内企業の監査に携わる。2001年には、明治大学特別招聘教授として後輩を指導。著書に『決算書こんなにカンタン』(すばる舎)など。




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