小笠原流礼法入門 - 日本人のこころとかたち【書評】



立ち方や座り方、食事のマナーなど、日本では作法について、さまざまな決まりごとがあります。それらのマナーを細かくまとめようものなら、何百・何千ページにも及ぶ、とても分厚い本が出来上がってしまう事でしょう。


あまりにたくさんあるため、すべてを覚えることは大変なことです。そのため、マナーについて学ぶことをつい疎かにしてしまいがちです。


この "マナーが疎かになる原因" として筆者は、われわれが「礼法」というものを堅苦しく考えすぎているからであると、本書の中で述べています。




忘れてはいけない日本人の心


もう少し細かく言うと、作法の形式にばかりとらわれてしまい、その作法の歴史についての理解が不足しているのではないか。かたちにとらわれた押し付けが、”「礼法」とは堅苦しいものなのだ” という誤解を生んだのではないか、ということを、筆者は理由として述べています。


小笠原流礼法宗家に就いている筆者は、先代の教えを多くの人に伝えるべく本書を執筆したといいます。 価値観の多様化が叫ばれる今日においても、時、場所、状況に応じた的確な判断を基とした、自然で美しいふるまいを心がけることが大切であると、本書に細かく綴られています。 




 ( 'ω'o[ 本書の内容をご紹介 ]o  


ファックスやメールを送る際に、いかに相手に失礼のないように送るかとこころを配り、表現していくことが必要となる。なぜならば、現段階においては最終的に機器を使用して管理するのは、あくまで人間であるからだ。 

どのような状況下においても『その場にふさわしい振る舞いをするための的確な判断』、これを身につけることが現代人には必要である。昔ながらの礼儀作法をそのまま取り込む必要はない。むしろ、すべきでないと言っても過言ではない。しかし、礼儀がどのような意義を持って生まれたのかという基本、つまり『こころ』に触れ理解することが、自分の的確な判断からなる『かたち』を作り上げる。 従って礼儀作法の修得は、この多様化した社会や価値観の変動の中においても、人間関係を円滑にする潤滑油として、十分に対応できるだけの要素となる。

( p.27 から引用) 




普通のマナー本と違うのは、歴史や教育についても触れている点 


「礼儀作法とはなにか」という話をするなかで、家庭教育についても触れています。立ち方や座り方、食事のマナーについて書かれたマナー本は多くありますが、本書はそれらの本とは違い、「その作法が在るのは何故なのか」、その作法が生まれた背景について説明されています。


とりたてて難しい書き方もされておらず、読みやすい本でした。 年代を問わず、礼法の基礎について学びたい方、見直したい方におすすめしたい一冊です。




【目次】

 序章 礼儀作法とは?

 第一章 動作の基礎

 第二章 個人同士での左方

 第三章 ビジネス社会の作法

 第四章 家庭で育む思いやりのこころ

 第五章 日常生活で知っておきたい作法

 第六章 年中行事と日本の文化

 

淡交社 

223ページ 

2017年9月23日初版発行 


著者 小笠原敬承斎 

東京生まれ。先代宗家・小笠原惣領家第三十二世小笠原忠統の実姉の真孫。聖心女子学院卒業後、副宗家を経て平成八年に小笠原流礼法宗家に就任。現代生活に合わせた礼法の普及のため、各地で指導、講演等を行っている。

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筆者のご紹介


(引用元:「Miura Arisa」Youtubeチャンネル 様 より)



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