最高のチームに変わる「仕組み」のつくり方【書評】



かつて「仕事は先輩の背中を見て覚える」というのが当たり前の時代だった。

そして、がむしゃらに働き、上司に認められて出世をし、高い給料を得る。それが普通の望みだった。


しかし、現代の若い世代は必ずしもそうではない。
いわゆる出世欲というものが少なく、残業の少ない職場で働くなどして「自分の時間」を求める傾向が高くなっている。

若者たちのこの発想を「トータルリワード」という。




若い世代に、今までの常識は通用しない!


この本で筆者は、職場で働く若い世代と上の世代とでは、共通認識としていることが異なるのだと述べている。

だからといって、若い世代が "情けなくなった” わけではない。



ここで、先に挙げた「トータルリワード」について説明したい。



「トータル・リワード」(Total Reward)とは?

従業員に対する報酬(=リワード)を総合的な動機づけのしくみと捉える考え方で、金銭的報酬と非金銭的報酬をバランスよく包括した報酬マネジメント体系を指します。働く人の価値観やライフスタイルの多様化に対応するためには、賃金だけでなく、仕事そのものの面白さや働きやすい職場環境、組織文化、能力・キャリア開発、福利厚生、ワーク・ライフ・バランスなども組み合わせた、自社独自の魅力的な報酬パッケージを構築し提供していくことが求められています。

(日本最大のHRネットワーク「日本の人事部」様より引用)



賃金以外の部分も、現代の若者たちにとって立派な報酬になっているのだと筆者は主張している。



日本で働く多くの上司達は、果たしてこの「トータルリワード」の考え方を理解しているだろうか。組織内に温度差があり、チグハグを感じるのであれば、理解できていない可能性がある。


私の経験でも、やはり多くの上司達は、自分たちが受けてきた指導、それによって作られた自分たちのものさしに当てはめて、部下を指導しているように感じる。


一見すれば、そうなるのは何ら不思議のない当然のことである。
自分たちはそれが正しいと教わり学んできた。だから、部下にも同じように指導をしているだけなのだ。


しかし、現代の若者たちとはそもそもの共通認識としているものが異なるのだから、「認知のゆがみ」は起きて当然のことだと筆者は主張している。

自分たちの当たり前が、今の若い世代の当たり前と交わるとは限らない。
だからこそ、チームを上手く回していくためには、本書に書かれている考え方が重要になるのである。





( 'ω'o[ 本書の内容をご紹介 ]o


【無意味な挫折経験を与えるな】

「人は " 失敗してこそ ” 成長する」という考え方を頑なに信じている上司もいるだろう。
これが間違いかといえば、そうとも言い切れない。失敗から学び、効果的な仕事のやり方を覚えていく人もいるものだ。
ただし、すべての人にこのやり方が通用するわけではない。
私は今の若い世代を「仕事の能力が低い」世代だと思わない。むしろ極めて「生産性が高い」世代だろう。小さい頃からスマホを使って情報を得る環境で育ってきた世代だ。作業効率もよい。
仕事とプライベートを割り切って考えることができ、無駄なことはしたがらない。だからこそ、「わざわざ挫折経験」を与えるようなマネジメントが意味不明なのだ。
その能力を生かしきれていない行動に問題があると思うべきだろう。」

(p.64 - p.65 より引用)





「仕組み」のある理想的な環境を!


・いくら努力しても売上が伸びない。
・一生懸命部下を鼓舞しても、真剣に仕事に向き合わない。
・諦めムードが漂い、社内の雰囲気が良くない



もし今、会社がこのような状態であるとしても、仕組みが動き出せば、会社は大きく変わるのだと筆者は述べている。


1日1回の声かけ、無駄な会議や書類の廃止、行動の観察と分析など。「仕組みづくり」といっても、大げさな作業ではなく、ちょっとした行動の変化だけで、組織・チームは間違いなく変化すると話している。


これからの厳しい時代に際し、組織はさまざまな問題に直面することであろう。
「なにか手を打っておかなければ」と感じる方は、ぜひ本書を手に取っていただきたい。

モヤモヤを晴らす糸口を見つける上で、本書はとても参考になる本であった。




【目次】

はじめに

第一章 「認知のゆがみ」が会社を滅ぼす ー ある日突然、人がいなくなる

第二章 思考を変える ー 今までの「成功体験」を捨てる

第三章 仕事を捨てる ー 結果につながる行動の見つけ方

第四章 人を育てない ー 「仕組み」で人を動かす

第五章 「仕組み」でチームが変わる ー 求められる「新しいリーダー」のあり方

おわりに


実業之日本社

189ページ

2018年1月28日初版第1刷発行


著者 石田 淳

株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者・社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事・アメリカの行動分析学会ABAI会員・日本行動分析学会会員・日本ペンクラブ会員・日経BP主催『課長塾』講師。

主な著書に『課長の技術 部下育成バイブル』(日経BP社)、『「生産性」をあげる技術』(宝島社)などがある。




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