便所掃除はお金を払ってでもさせてもらいなさい【書評】



トイレの神様』という歌が話題になったのは、いまから9年前のことです。シンガーソングライターである植村花菜さんの、実体験をもとにしたこの曲は、FM局で流れるや一気に評判となりました。

さまざまな年代の方の心を揺さぶり、当時は数多くのメディアで取り上げられていました。


我々が毎日用を足すことにより、家の中でもっとも不浄な場所となる「トイレ」


そのトイレをちゃんと綺麗にしておきたいと思ったのを、いまでも覚えています。




今回ご紹介する本もまた、実体験をもとにしたものです。

筆者がお母さまから授かった金言をもとに「掃除」について書いた本です。筆者自身の経験と、掃除にまつわる耳学問的なお話で綴られています。


お母様は筆者に向けて何度も「だれもがイヤがる便所掃除は、お金を払ってでもさせてもらいなさい。便器と便所をみがくことは、ほかならないあんた自身をみがくことになる」と話していたそうです。




( 'ω'o[  本書の内容をご紹介   ]o

掃除について、いろいろな人に聞いてみると、多くが「たいへんな仕事、汚れてしんどい仕事、みんながイヤがる仕事」といったマイナスのイメージで捉えています。掃除の大切さを理解していない先生は、宿題を忘れてきたとか、いたずらしたとか言って、掃除をさせます。掃除を「罰」としています。まさにマイナスイメージですが、掃除は社会的に意味のある仕事です。掃除をする人がいなかったら、生活のあらゆる場所で気持ちよく過ごすことはできません。

汚れてたいへんな仕事だけにイヤがられるのですが、掃除する人のなかには、「やってやっている」と威張る人もいます。
しかし、こんな考えややり方は「掃除に学ぶ精神」とは違います。掃除は自己啓発です。自分の心みがきであって、人に押しつけるものではありません。

(p.107-108 より引用)




掃除のさまざまな事例をまとめた珠玉の一冊


「あいうえお」から「なにぬねの」まで、掃除から得られる教訓が書かれています。「こ」➛「こころみがき」、「な」➛「なげやりにならない」、など、掃除を通してこんな人間になれますよと教えてくれています。
若い世代でも、上の世代の方でも、なるほどとつい読みふけってしまう "あるある話" も注目です。


たとえば、こういう光景を見たことありませんか?


コンビニの前でゴミを投げ捨てる人、車の窓からゴミをポイ捨てする人など。挙げたらキリがないくらいに、いたるところでゴミの投棄は起きています。


指定された場所に捨てるべきゴミが、道の端々に落ちている。筆者が舞台とした場所はたまたま大阪でしたが、関東にも当然ゴミは落ちています。トイレが流されていないまま放置されるケースだってあります。



「便所掃除」と聞くと怪訝そうな顔をする人は多いでしょう。しかし、やれと言われてやるのはイヤでも、自らすすんでやるのであれば、イヤではないのではないでしょうか。


当たり前のようで、実は見過ごしていたそんな気持ちを、思い出させてくれた一冊でした。




【目次】

はじめに 幼いころに記憶した母の言葉

第1部 駅前清掃、20年やって気づいたこと

第2部 ようこそ!掃除の奥深い世界へ

エピローグ 学んだこと、「は・ま・や・ら・わ・ん」

おわりに 母、最後の教え


三五館

221ページ

2017年5月3日初版発行


著者 山本健治 プロフィール

1943年大阪府生まれ。文筆家・ニュースコメンテーター。66年立命館大学を卒業し、会社員を経て、高槻市会議員と大阪府会議員を務める。選挙に落選後、幼少期に聞かされた母の言葉「便所掃除はお金を払ってでもさせてもらいなさい」を思い出し、以降23年間毎朝、新大阪駅東口の広場の清掃と、「掃除に学ぶ会」でのトイレ掃除をつづけている。著書に『ホウキとヤルキ』『現代語・地獄めぐり』など。




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